萩のゆきさんにお話しを聞きました。

「漆の木の枝先に毎年うまれるエネルギー」

 

萩のゆきさん(デザイナー)にお話しを聞きました

 

こんにちは。高澤ろうそくの高澤 久と申します。われわれの新しい取り組み「うるしろうそく」には、デザイナーの萩のゆきさんに加わってもらいました。

萩のさんは10年以上前にご家族で輪島 三井に移住してきて、デザインの仕事とともに能登の暮らしを楽しんでいらっしゃいます。

今回はうるしろうそくの発売にあたり、萩野さんにあらためてお話しを聞いてきました。トーク形式でお送りいたします。

 

 

 

高澤

「輪島塗の産地である能登では原料となるうるしの木が老齢化して、自給に苦労されている現状があります。僕らがうるしろうそくを作ることで、そうした国内産漆の需要を守るお手伝いになればというきっかけがありました。さらにもうひとつ思いがあって、それは身の回りにあるものを慈しむ、楽しんでいただけたらということです。

今回僕らは能登で身近な漆の木の実を使ってろうそくを作ったのですが、他の地域に現在住んでいる人が、ふとまわりを見回してみると自然の恵みがあるのではないでしょうか。そして、その恵みを使って楽しむことが出来たら素敵だなと思います。

 

今回は能登の三井で身近なものに価値観を再発見して、楽しんでいる萩野さんにお話しを聞いてみようと思いました。」

 

萩野さん

「100年くらい前だと、交通の便の関係もあって、身の回りの自然を利用して暮らすのは当たり前のことだったと思います。

でも交通の便がよくなり便利になった反面、今の暮らしからは遠いものになってしまった。改めて身の回りのものに気づいて、楽しむということはシンプルだけれど、とても意義のあることだと思います。例えば春になると里山の山菜の恵みをいただいたり、自分と自然のかかわりを意識するようになりますよね。

 

食べることの他にも、里山の植物を使って服を染めるというような楽しみ方もありますね。けれども和ろうそくという植物由来の蝋がろうそくになるというのは、ちょっと違った印象を受けるんです。ろうそくってエネルギーですよね。最近はエネルギーに関することに注目が集まっていると思うのですが、ろうそくも身近なエネルギーのひとつだと思うんです。山の漆の実を使ってエネルギーを作る。電気みたいに見えないエネルギーではなく、目に見えるエネルギー。温かな炎の色やほのかな香り、五感で感じるエネルギー。漆の木の枝先に毎年うまれるエネルギーだとおもうと、ワクワクしませんか。」

 

高澤

「和ろうそくの炎が不思議だなって思うのは、炎をながめることで身体のなかにもエネルギーが湧くようなところだと思います。リラックスして心が落ち着くという人もいるし、明日からもがんばろうというエネルギーにもなります。」

 

萩野さん

「能登にきて和ろうそくにふれる機会も増えたのですが、和ろうそくの炎の動き方には勢いがあって、空気の動きがまるで見えるよう。

やさしいというよりも勢いを感じる火だなって感じてます。」

 

 

 

高澤

「最初にうるしろうそくの企画の依頼をしたときに、どんな印象を持たれましたか?

僕が個人的に思うのは、今まではロウはロウ屋さん、ろうそくを作るのはろうそく屋さんというふうに別れて仕事をしていたのですが、このうるしろうそくの試みは、ロウからわれわれが作るというところで、新しい道ができたというふうに感じています。

遠くの誰かが作ったものではなくて、近くのあの人がとった実でロウを搾って、そんなふうに分かるものからろうそくを作る。これが面白いところなんです。」

 

萩野さん

「私は能登にきて畑を耕して豆を作ったり、その豆を使って地元のお醤油屋さんとお醤油を作ったりしています。ひと粒の豆からひと滴の調味料になるまで全てのステージが自分で見えるんですね。あ、今はこの段階だなって。しかも全てが繋がっている。携わる全ての人の顔も思い浮かべることができる。不思議とみんな人ごとではなくなってくるんです。全てのものが繋がっているということ、それが分かるろうそくは魅力的だなって思いました。」

 

高澤

「能登で暮らしていると、1から10まで見ることができるということも良いところだと思います。例えば、息子とよく近くの海で釣りをするんですが、近くで釣った魚を食卓で食べることができる。住んでいると普通だと思いますが、よいところですよね。」

 

萩野さん

「ほんとうですね。そういう意味でいうと、海のさかなのようなろうそく、畑の野菜のようなろうそく。私たちとすごく繋がっているなって感じます。

話しは少し違いますが、伝統のものをノスタルジックに頑なにやるっていうのは、特殊な使いみちであったり、高価なものになって暮らしから遠ざかってしまう。それってどうなのと私は思います。高澤さんのところは伝統のよいところを活かして、工夫をされて量ができるので、たくさんの人に伝えることができる、大事な要素だと思います。」

 

高澤

「伝統工芸ってそれそのものが価値をもって、美術館で観賞したりというような要素もあります。でも僕らは暮らしの中で使ってもらいたい、眺めるのではなく、火を灯してほしいという気持ちがあります。実用品を作っていきたいと思います。

今日はお話しを聞かせていただいてありがとうございました。」

 


萩のゆき・デザイナー 輪島市三井在住

「まるやま組」 http://maruyamagumi.blog102.fc2.com/